ノリウツギ(ピラミッドアジサイ)は夏から秋にかけて円錐状の花を咲かせる樹木です。
暑さや寒さに強く春に伸びた枝に花が咲くタイプなので剪定が簡単なのも特徴。
今回はノリウツギ(ピラミッドアジサイ)の特徴と種類、剪定時期など育て方のポイントを紹介します。
ノリウツギ(ピラミッドアジサイ)の特徴と種類
ノリウツギは北海道から九州の山地の林縁や湿地に自生するアジサイ科(※)の落葉低木です。
※ユキノシタ科で分類される場合もあります。
別名、ノリノキ(糊の木)、ノリギとも呼ばれ、北海道や東北地方ではサビタと呼ばれます。
漢字では「糊空木」と書きます。
・「糊」は、樹皮の内皮からでる粘液を和紙づくりに使ったことから
・「空木」は、枝が空洞になっていることから(空ろな木⇒空木)
というのが名前の由来になっているそうです。
樹高:3~4m
花色:白
耐寒性:強い
耐暑性:強い
アジサイの仲間ですが、樹高は一般のアジサイよりも高いです。
一般のアジサイの花より開花期は遅く、7月から9月に花を咲かせます。
中心につぶつぶの両性花、その周りに装飾花をつけるところはガクアジサイに似ています。
花の形が円錐形をしているのが一番の特徴で、素朴な雰囲気が魅力といえるでしょう。
ノリウツギの園芸品種は花の形からピラミッドアジサイと呼ばれます。
ピラミッドアジサイは装飾花のみで非常に華やかな印象があります。
アジサイの仲間、カシワバアジサイも同じように円錐状に花が咲きます。
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カシワバアジサイ(柏葉紫陽花)の特徴と育て方!剪定時期と方法は?
主な種類
長い期間、花色の変化が楽しめる品種です。
名前のとおり咲き始めはきれいなライムグリーン。
時間が経つと花色はクリーム色に変わり、秋になると今度はピンクに変わります。
白い花を咲かせる品種です。
夏場の強い日光にあたると傷むので日よけをするか日陰に移動します。
樹高は50~100cmで小型で育てやすい品種。
花付きがよく円錐花序の白花を次々と咲かせます。
ノリウツギ(ピラミッドアジサイ)の育て方
水はけの良い半日陰の場所で育てましょう。
日当たりの良い場所を好みますが夏場の直射日光があたると株が弱ってしまいます。
1日に数時間、日光が当たるところなら十分開花します。
植え付けの適期は落葉期の11月から3月です。
日本に自生している植物なので特に特に土質は選びません。
鉢植えは市販の培養土を使うと簡単です。
水やり
鉢植えの場合、土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。
地植えの場合は特に必要ありません。
ただし、植え付けてから2年未満の株は雨が少なく土の表面が乾くようなら水やりをおこなってください。
肥料
与える時期は1~2月と花後です。
地植えは油粕か緩効性肥料を株元の周辺に埋めておきます。鉢植えでは株元にまきます。
病害虫
目立った病害虫はありません。
増やし方
挿し木ととり木で増やすことができます。
ノリウツギ(ピラミッドアジサイ)の剪定時期と方法
ノリウツギは「新枝咲き」といって春に伸びた枝に花が咲くタイプのアジサイです。
花芽ができる時期は4月なので、7月に開花したら秋まで花を楽しんで、それから剪定をするとよいでしょう。
剪定時期は開花後の11~12月。翌年の3月までには剪定を終わらせましょう。
弱剪定
花後に花だけを切ります。さらに秋以降~冬にかけて枝の先端を軽く切ります。
古い枝を残すので翌年の春には新しい枝がたくさん出て、花数が多くなります。
ただし、枝が多いのでエネルギーが分散されて花は小さめになります。
枝を切らない分、樹高は高くなります。
放っておいたら人間の身長より大きくなってしまったという場合は強剪定をしたほうがよいでしょう。
強剪定
花の後に、地表から2~3節を残してバッサリと切ります。
春に伸びる枝の数が限定されるので花数は少し減ります。
その分、新しい枝に勢いが出て花が大きくなります。
花丈がそろうので放射状の美しい樹形になるのが魅力です。
強剪定をすると樹高は1m前後に低く抑えることができます。
ノリウツギ(ピラミッドアジサイ)は剪定が簡単!
アジサイの花が咲かない原因のひとつは切りすぎなど剪定に問題があることが多いです。
かくいう私も、そのひとり。どの程度切ったらよいのか、いつも迷ってしまいます。
一般的なアジサイは「旧枝咲き」といって去年の枝に花が咲くタイプ。
剪定時期を間違えないことが大切です。
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アジサイの花が咲かない原因!来年花を咲かせる方法は?
アジサイは剪定がむずかしそうという初心者の方は新枝咲きのアジサイから始めるのがオススメです。
今年伸びた枝に花芽をつける新枝咲きは剪定が簡単です。
時期の限度さえ守れば、花後に地表からバッサリと切っても、翌年、花を楽しめます。
新枝咲きのアジサイは、ノリウツギ(ピラミッドアジサイ)の他に、アナベルがあります。
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さいごに
アジサイの剪定がうまくできないのが悩みのタネ。
強剪定をしても翌年花が咲くというアジサイがあると知って育ててみたいと思っています。
そこで、今回はノリウツギ(ピラミッドアジサイ)の特徴と種類、剪定時期など育て方についてまとめてみました。
サイトによってはノリウツギとピラミッドアジサイは同じ植物として扱われていることもあります。
調べてみると、別名というよりは原種と園芸品種という関係ではないかと思いましたが、どうなんでしょうね。
ノリウツギは両性花と装飾花があるのに対し、ピラミッドアジサイは装飾花だけという違いもあります。
一般には見た目が華やかなピラミッドアジサイが多く流通しているそうです。
今年はアナベルを育てようと考えていたのですが、ライムライトに変更するべきか迷っているところです。
ノリウツギの枝は空洞?
調べてみるとノリウツギは空洞ではなく中心に「髄」とよばれる部分があることがわかりました。
【補足:髄(ずい)とは】
・動物の骨の中心にある黄色の柔らかい造血組織。骨髄。
・植物の茎の中心部の維管束に囲まれ柔組織からなる部分。
・物事の中心。要所。奥義。神髄。
ノリウツギの「髄」は柔らかいので取り除くのが簡単だったようです。
昔は、管状になったものを使い、パイプ、煙管(キセル)を作ったという話もあるようですよ。
似た名前の植物にアジサイ科ウツギ属のウツギ(空木)がありますが、こちらは本当に空洞になっています。
・タニウツギ(谷空木):タニウツギ科
・バイカウツギ(梅花空木):アジサイ科
このように違う植物でも名前に「ウツギ」がついているものもあります。
名前の由来は、枝の中心部が空洞になってる場合もあれば、花や樹形がウツギに似ている場合もあるそうです。
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