カルミアは金平糖のようなツボミとパラソルのような形の花が可愛らしい樹木です。
ユニークな花姿はもちろん、花びらの内側とツボミの色の対比も魅力的で楽しめますよ。
今回はカルミアの特徴と品種、花後の手入れや剪定時期など育て方のポイントを紹介します。
カルミアの特徴と品種
カルミアは、北アメリカ・キューバが原産、ツツジ科の常緑低木です。
別名、アメリカシャクナゲ(アメリカ石楠花)とも呼ばれます。
アメリカから渡来したことと、葉がシャクナゲに似ていることが名前の由来です。
花の形が花笠のように見えることからハナガサシャクナゲ(花笠石南花)という別名もあります。
樹高:1~3m
開花期:5月上旬~6月中旬
花色:赤、ピンク、白、茶
花の大きさは2cm程度で房状にびっしりと咲く姿は見事です。
寒さには強く北海道でも栽培可能です。
その一方、夏の暑さと乾燥は苦手。鉢植えは日陰に移動するなど夏場の管理には注意しましょう。
花の仕組み
ツボミが金平糖のような形をしていますが、これにはちゃんとした理由があるそうです。
開花した花の内側をみると、中央にめしべがあり、その周りに放射状におしべが広がっているのが分かります。
おしべの先端には葯(やく)とよばれる花粉が入っている部分があり、葯を支える部分は花糸(かし)といいます。
葯が収まっているところは花の内側にある「くぼみ」、外側から見れば金平糖の突起部分です。
つまり、ツボミが金平糖のような形をしているのは葯を収納するためだったというわけですね。
蜜を吸いにやってきた虫が花糸に触って刺激を与えると葯が飛び出します。
すると花粉が散って虫の体にくっつくという仕組みになっています。
有毒成分
葉に有毒成分が含まれています。
手で触れたり、ちぎったりする程度なら心配はありません。
しかし、誤食すると嘔吐、下痢、腹痛、神経麻痺を引き起こすといわれています。
小さなお子さんやペットがいるご家庭では注意してください。
主な品種
一般にカルミアというとこの種を指し、最もポピュラーな品種です。
ツボミは薄ピンク色、花びらは白いのが特徴。
樹高は30~300cmほどに生長します。
ツボミは鮮やかな濃いピンク、花びらの内側は淡いピンクと色の対比が美しい品種です。
ツボミも花びらの内側も赤い品種です。花が咲くにつれて、少しずつ淡い紅色に変化します。
ツボミが濃いピンクで、花びらの内側にワインレッド色の斑が入ります。
カルミアの育て方
日当たりと水はけの良い場所が適しています。
ある程度の日陰には耐えますが日当たりが良いほうが花つきがよくなります。
ただし、真夏に直射日光が当たったり、西日が直接当たる場所は避けてください。
カルミアはツツジ科の植物なので、やや酸性の土を好みます。
地植えの場合は植えつける場所にピートモスや鹿沼土などを混ぜ込んでおくとよいでしょう。
鉢植えの場合は、市販のツツジ・サツキ用の培養土を使うと簡単です。
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水やり
地植えの場合は、特に必要ありません。
鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。
肥料
【与える時期】
・2月頃(寒肥え)
・花後の5月下旬から6月下旬(お礼肥え)
・9月下旬から10月下旬
固形の油かすや緩効性化成肥料を与えます。
カルミアは枝先の真下くらいまでの範囲に根が張っています。
地植えの場合は根の周りに肥料を浅く埋め込みます。
鉢植えの場合は土の上に肥料を置きます。
摘蕾(てきらい)
摘蕾とはツボミ(花芽)を摘むことです。
たくさんツボミが付くと翌年は見事に咲きますが、その翌年には木が疲れて花つきが悪くなることがあります。
ツボミが多すぎるときは秋に全体の半分程度を摘み取ってしまいましょう。
10月頃になるとツボミが確認できるようなるので花芽の房の下で枝を切り落としてください。
※毎年咲くはずのものが1年おきにしか咲かないことを「隔年開花」といいます。
隔年開花についてはこちらの記事でも書きました。ハナミズキも同じ性質があるそうです。
↓ ↓ ↓
ハナミズキの花が咲かない!原因と対策は?
ちなみに、カルミアが日本へ入って来たのは大正時代。
アメリカにサクラを寄贈したお礼としてハナミズキとともに贈られてきたといわれています。
本格的に普及しはじめたのは戦後になってからだそうです。
病害虫
害虫は、カイガラムシ、ハマキムシなどが発生します。
病気は、褐班病などがあります。
カルミアの花後の手入れ
咲き終わった花は散らずに茶色くなって残ります。
花がらをそのままにしておくと、種を育てようとして養分が取られてしまいます。
新しい枝が伸び始めるのが遅くなり夏までに枝が充実することができません。
すると花芽をつけなくなってしまうので次の年に花があまり咲かなくなってしまいます。
咲き終わったら花がらは花茎の基部から摘み取ってください。
カルミアの剪定時期と方法
自然に育てていても樹型が整います。毎年、強い剪定をする必要はありません。
込み合った枝や木の内側に向かって伸びる枝、樹形を乱す飛び出た枝を切る程度でよいです。
枝分かれしている付け根の部分から切り落としましょう。
不要な枝を減らすことで風通しや日当たりが良くなり病気や害虫の予防にもなります。
また、古い枝は芽吹く力が衰えます。切り落として若い枝を伸ばすようにするとよいでしょう。
ある程度、年数が経って花つきが悪くなった場合は、思い切って全ての枝をバッサリと短く切ります(強い剪定)。
ただし、強い剪定をした翌年は花が咲きません。
剪定に適した時期は花の咲き終わった直後です。
カルミアは花後に伸びた新しい枝の先に翌年開花する花芽が夏頃に作られます。
剪定時期が遅くなるとツボミがついた枝を切り落とす可能性が高くなるので注意してください。
さいごに
今回はカルミアの特徴と品種、花後の手入れや剪定時期など育て方についてまとめてみました。
実家に庭植えのカルミアがあるので私にはお馴染みの庭木です。
夏場には西日が思いっきり当たる場所なのに元気に育っているのは寒冷地だからなのでしょうか?
花が咲いた枝を切り取って飾ることもありますが、わりと長持ちしてくれるのが嬉しいですね。
特に剪定の必要がないので初心者でも手入れが楽なのもメリットといえます。
それにしても、金平糖のようにみえるツボミの形に理由があったとは驚きです。
単なる飾りだとばかり思っていました。
花が咲いたらピンセットで突っついて、おしべが飛び出すところをみたいと思っています。
理科の実験のようで楽しそう、開花時期が待ち遠しいです。