ヒペリカムは花屋さんで一年中販売されているお馴染みの植物です。
赤やピンクの実がついた枝は長い期間楽しむことができるので切り花として重宝しますよね。
家の近くにある街路樹の根元に植えられている黄色い花の咲く植物がヒペリカムの仲間だということを最近知りました。
そこで、今回はヒペリカムの特徴と種類、育て方のポイント、挿し木で増やす方法について調べたことをまとめてみました。
ヒペリカムの特徴と種類
ヒペリカムは、オトギリソウ科オトギリソウ属の学名です。
一年草・多年草・低木のものがあり、中央アジア~地中海沿岸を中心に世界中に450種ほどが分布しています。
園芸植物として栽培されているのは低木で、美しい花や実を観賞します。
樹高:20~100cm
開花時期:6~7月
花色:黄色
実の色:赤、ピンク、オレンジ、黄、白など
花はほとんど1日で散ってしまいますが、3ヶ月ほどの間、次々と咲き続けます。
主な品種
花色が黄色で姿も似ているものが多いです。
樹高が低いもの、中型で花が大きいもの、実が美しいものなどがあるので植え場所を考えて選ぶとよいでしょう。
学名:Hypericum androsaemum(ヒペリカム・アンドロサエマム)
別名、コボウズオトギリソウ(小坊主弟切草)とも呼ばれます。
樹高:60~90cm
白、クリーム、ピンク、黄、オレンジなどさまざまな実色の品種が作られています。
学名:Hypericum calycinum(ヒペリカム・カリシナム)
セイヨウキンシバイ(西洋金糸梅)、ヒメキンシバイとも呼ばれます。
非常に強健で育てやすい品種。
黄色の花は大輪で、長いおしべが特徴。1つの茎に1つの花をつけます。
樹高は40cm程度と低いのでグランドカバーに適しています。
公園や街路樹の根元などで利用されることも多いです。
栽培は東北~沖縄まで可能。
学名:Hypericum patulum(ヒペリカム・パツルム)
樹高は約1m。枝垂れた枝の先にうつむき加減に花を咲かせます。
原産地は中国で江戸時代に渡来し古くから観賞用として栽培されてきました。
「金糸梅」の名前は、おしべが金色の糸の束のように見え、花が梅に似ていることに由来しています。
学名:H. patulum cv.Hidcote(ヒドコート)
キンシバイの園芸品種。
樹高は50~70cm。初夏に黄色の花を株いっぱいに咲かせます。
生育旺盛でよく茂り、株が地面を覆うように広がりるので生け垣やグランドカバーにも使われます。
北関東以北では冬になると落葉します。
学名:Hypericum chinense
※学名がHypericum monogynum(ヒペリカム・モノギナム)と書かれているサイトもあります。
樹高は1~1.5m。
約300年前に中国から渡来した品種。
枝先がやや垂れ下がる樹形。
5~7月に5cm程度の花を枝先に数個ずつ咲かせます。
黄色の花が上向きに咲き、多数の雄しべが突き出すのが特徴。
緑色の葉に白とピンクの斑が入る品種。
特に温度が低い時期はピンクが濃く発色します。
樹高は30cm程度。春から初夏にかけて黄色い花を咲かせます。
ヒペリカムの育て方
株が大きくなるので鉢植えには向いていません。
実を楽しむ種類(アンドロサエマム)以外は、地植えするのが一般的です。
水はけが良く、日当たりの良い場所~半日陰に植え付けましょう。
日陰でも育ちますが枝ばかりが伸びて花つきは悪くなります。
ただし、アンドロサエマムは強い日ざしに当たると葉焼けを起こすことがあります。
鉢植えの場合、夏場は半日陰の場所に移動してください。
暑さにも寒さにも強いので、夏越し・冬越しの対策は特に必要ありません。
水やり
地植えの場合は特に必要ありません。
鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。
肥料
地植えの場合は、生育期に入る前の3月頃と花後の9~10月頃に緩効性化成肥料を与えます。
鉢植えの場合も同じ時期に与えます。
植え付け
3~4月、9~10月が適期です。
地植えの場合は、根鉢より一回り大きな植え穴を掘り、掘りあげた庭土に腐葉土を混ぜ込んで水はけをよくします。
元肥として完熟堆肥を少量混ぜ合わせて植えつけましょう。
鉢植えの場合は、市販の培養土を使うと簡単です。植え替えは1~2年に1回を目安に行います。
病害虫
害虫は特にありません。
病気は「さび病」が発生することがあります。
切り戻し
花つきが悪いときや茎だけが伸びたときは3分の1程度を残して切り戻しましょう。
剪定
春に伸びた枝に花芽をつけるので剪定は冬(3月頃)に行ないます。
株を小さくしたい場合は、地面から20~30㎝の高さで刈り込みましょう。
大きくしたい場合は、樹形を整える程度に浅く刈り込みます。
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増やし方
挿し木と株分けで増やすことが出来ます。
【挿し木】
開花前の5~6月が適期です。
・枝を10cmていどの長さに切り取ります。
・先端の葉を2~3組残して下部の葉は摘み取ります。
・ツボミがついていれば切り取ります。
・30分ほど水にさして水揚げをします。
・赤玉土小粒や挿し木用土に挿して下さい。
・明るい日陰に置いて水を切らさないように管理します。
【株分け】
3~4月、10月が適期です。
株を堀り上げて、適当な大きさに分けて植え付けます。
切り花のヒペリカムを挿し木する【栽培記録2020】
切り花のヒペリカムを使って挿し木できるという話をききました。
そこで、7月19日に試してみることに。
実を取って枝を10cm位の長さに切ったところ。
水揚げしてから空き容器に挿しました。用土は庭土です。
適期ではないので成功する可能性は低いかもしれません。
ちなみに、今後1週間の予想は最高気温は25℃前後。最低気温は19~20℃。
梅雨明けはしておらず、曇りや雨の日が多いようです。
発根を確認
天気の悪い日が続いているせいか、挿し木したヒペリカムには全く変化が見られません。
葉が枯れるわけではありませんが、新芽が伸びてこないのです。
8月上旬、試しに1本に触ってみるとスポッと抜けてしまいました。もちろん、根は出ていません。
失敗です。ただ、残った挿し木を処分する気になれず、放っておきました。
さらに数日経って、ようやく片付ける決心をして抜いてみようとしたところ…。
すぐに抜けてくれません。手ごたえを感じます。
抜き取った茎をみると根が出ていたので、あわてて元に戻しました。
残り2本も茎を抜こうとすると手ごたえを感じるので根が出ていると考えてよいのでしょう。
5本挿して3本発根という結果は私にしては上出来。
根が出た苗木をそれぞれ別の鉢に植え替えたいところですが今後1週間は真夏日が続くとのこと。
植え替えするのは、もう少し暑さが和らいでからのほうが安心かと思っています。
植え替え
混みあってきたので8月23日に植え替えしました。
10月31日撮影。新芽が出ないまま秋になりました。
紅葉した後、葉は落ちてしまいました。
冬越し
苗の置き場所を屋外と屋内2つに分けました。
・屋外(風と雪から守るため囲いをする)
・屋内(玄関)
春になり屋内で管理していた苗から新芽が出ました(2021年3月20日)。
屋外で管理していた苗は土を乾かしてしまい枯れてしまいました。
さいごに
今回は、ヒペリカムの特徴と育て方、挿し木で増やす方法について書いてみました。
花屋さんでみかける赤やピンクの実がついた枝というイメージが強くて、どんな花が咲くのか、想像したこともありませんでした。
ネットで花の写真をみて、どこかで見たことがある…。
と思ったら、街路樹の根元に植えられている植物でした。
意外と身近なところにヒペリカムの仲間が植えられていたというわけです。
寒冷地で冬は雪に埋もれてしまいますが防寒対策が必要ないというのがいいですね。
自宅のグランドカバーとして育ててみるのもよいかもしれません。
ちなみに、Hidcote(ヒドコート)という品種名、我が家で育てているイングリッシュラベンダーと同じ品種名です。
学名はラテン語だそうですから「ヒドコート」というのは共通する特徴から名付けられたものかも?
などと思っています。