アメリカシロヒトリの発生時期と駆除方法【自宅の庭の被害状況まとめ】

シランの葉を食べるアメリカシロヒトリ

樹木の葉を食害するアメリカシロヒトリという害虫をご存知ですか?

大発生すると葉を食べつくされて大きな被害を受けることもあり、早めに発見して駆除することが大切です。

アメリカシロヒトリの発生時期と駆除方法をまとめました。

自宅の庭が被害にあった時のようすも紹介します。

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アメリカシロヒトリとは

アメリカシロヒトリ

アメリカシロヒトリはチョウ目ヒトリガ科あるいはトモエガ科の蛾(ガ)の一種です。

・幼虫(毛虫)は黒く長い白毛で覆われている
・成虫は白色で褐色斑がある(体長約3cm)

北アメリカ原産。

第二次大戦後、米軍物資について日本に侵入したといわれています。

現在は、本州・四国・九州に分布。

北限は青森県、南限は熊本・宮崎両県とされていました。

しかし、1994年には小笠原諸島で、2000年には北海道の函館市で発生が確認。

日本中のどこにでもいると考えたほうがよいかもしれません。

出典
アメリカシロヒトリ / ウィキペディア
アメリカシロヒトリ / 国立環境研究所 侵入生物DB

漢字では「アメリカ白火取」と書きます。

蛾(ガ)の成虫の多くは夜行性で光源の周囲を飛びまわる走光性を持っています。

アメリカシロヒトリもこの習性があることから「白火取」となったようです。

出典:tenki.jp

アメリカシロヒトリの発生時期と生育サイクル

ヒマラヤユキノシタとアメシロ

アメリカシロヒトリは毒毛針がないため人への直接被害はありません。

しかし、大量発生すると街路樹や庭木、草花を食い荒らすので害虫として扱われています。

餌を食べ尽くした幼虫が移動する際、家屋の壁面を這ったり、屋内に侵入することもあるので不快害虫とも呼ばれます。

発生時期

・6月上旬~7月中旬
・8月上旬~9月中旬

通常は年2回の発生で、本州南部では3回発生する地域もあります。

生育サイクル

・サナギで冬を越す
・5月ころ成虫になり300~800個の卵を葉裏に産みつける
・卵は10日ほどで、ふ化する
・幼虫は最初、薄い糸を張った「巣網」で集団生活をする
・1~2週間後、分散して葉を食い荒らし始める
・体長3cmほどに成長すると木から下りてサナギになる
・2~3週間ほどで成虫になる

このサイクルを年2回繰り返します。

食性

食性は広く広葉樹や果樹など100種以上の植物の葉を食べます。

サクラ、ウメ、カキ、クワ、ポプラ、プラタナス、ミズキ、ナナカマド、ヤナギ など。

アメリカシロヒトリの駆除方法

ヒマラヤユキノシタとアメシロ

「巣網」で集団生活しているときに駆除するのが効果的です。

分散してから駆除するには薬剤を散布しなければならなくなります。

巣網の駆除

巣網に薬剤を散布しても中までとどきません。

まず、高枝切りバサミなどで巣網ごと枝葉を取り取ります。

その後、「殺虫剤を噴霧する」あるいは「踏みつぶす」方法で駆除。

ごみ袋に入れて燃えるごみとして出します。

幼虫の駆除

巣網から出て活発に活動を始めた場合、薬剤散布で駆除します。

便利な分包タイプ。

殺虫剤の定番商品。

お得なセット。

スミチオン乳剤やトレボン乳剤などの薬剤が効果的といわれています。

規模が小さい場合は殺虫スプレーをかけるだけでも効果があるようです。

ただ、自分の手におえないようであれば、造園・害虫処理などの業者に相談しましょう。

ドウダンツツジとアメシロ
自宅のドウダンツツジの場合、枝を軽くたたき地面に落ちたところを捕殺。

高い木だと上から降ってきて怖いですが、樹高1m程度の低木なので効率よく捕まえることができています。

アメリカシロヒトリの発生状況・被害・駆除【自宅の庭】

シランの葉を食べるアメリカシロヒトリ

我が家の庭の被害について備忘録として書いておきます。

2007年

アメリカシロヒトリの実物をみたのはガーデニングを始めたばかりの2007年ころだったように思います。

当時は、害虫の種類も対策もまったく分からない状態。

アブラムシを見つけたときに薬をかけたり葉ごと取り除いたりする程度です。

ところが、春から初夏にかけて庭木の葉が茶色に枯れるようになりました。

葉の裏を見ると見たこともない虫がびっしり!

地元紙やニュースで被害が出ていると知り、状況からアメリカシロヒトリらしいと見当をつけました。

よくよく見ると、庭のあちらに1匹こちらに1匹といった具合にいて葉を食べています。

見つけ次第、取り除き、薬剤をかけました。

翌年は、「巣網」の段階で発見することができたので被害も少なめですみました。

それ以降の数年間は、ほとんど見かけることがなく忘れかけていました。

2013年

7月に入ってから近所の庭木の葉が茶色に枯れているのをみかけるようになりました。

アメリカシロヒトリではないかと気になっていたのですが…。

7月25日、自宅の庭に植えているヒマラヤユキノシタの葉を食べているところを発見。

再び、我が家にもやってきました。

被害が大きくなるのはこれからかもしれません。

発生のピーク【8月下旬】

食害にあったネコヤナギの木
1ヶ月が経ち発生のピークをむかえたようです。

近所の庭木(ネコヤナギ)の葉が数日の間に食べつくされて葉脈だけになってしまいました!

近くに寄ってみると葉も幹もアメリカシロヒトリだらけ。

木の上から降ってくるので怖いなぁと周りを見まわすと塀の上にもたくさんいました。

動くのが速くて塀の上から地面にジャンプするのもいます。

運が悪いことに風が強いので飛ばされていくのもあり、どんどん広まってしまいそうです。

ネコヤナギの葉を食べてしまったら近くの木に移動するのは必至だな~と思っていたのですが…。

現実になりました。

我が家の庭も悲惨なありさまです。

食害にあったヒマラヤユキノシタ
ヒマラヤユキノシタの葉にビッシリ。
おもっきり薬剤をスプレーしてしまいました。

大群が家の壁にへばりつく

8月31日は大雨が降り、9月1~3日も小雨ですが降りました。

薬剤散布ができないので、ひたすら手でとってはゴミ袋に入れていく作業。

6日ころ、ようやく晴れたと思ったらアメリカシロヒトリが、家の壁に数十匹。

どうして、食べるものがないのに壁にへばりついている?

しかも、上へ上へと登る?

見るだけでユウウツになる光景でしたが、徐々に見慣れて何も感じなくなっている自分が怖い…。

アメリカシロヒトリが壁にへばりついている状態は2~3日間続きましたが少しずつ数は減っていきました。

8日、裏庭に出現。見つけ次第、手で取る。
9日、シラン、ホトトギスの葉が食い荒らされる。見つけ次第、手で取る。
10~11日、見つける数は1日当たり数匹程度に減る。

アメリカシロヒトリの発生確認から1ヶ月余り、駆除もようやく終了しそうです。

アメリカシロヒトリの被害を受けやすい植物【自宅の庭】

アッツ桜とアメシロ

雑食性といわれていますが花壇に植えている植物のすべてが食べられているわけではありません。

アメリカシロヒトリにも好みがあるのでしょうか?

好きな植物♪♪

ルドベキアとアメシロ
ルドベキア、ヒマラヤユキノシタ、ドウダンツツジ、ツツジ、マリーゴールド、シラン、ホトトギス

まあまあ好きな植物♪

ギボウシ、ミョウガ、ミント類

あまり好みでない、もしくは嫌いな植物

スイセンノウ、シュウカイドウ、ユキノシタ、ツルマンネングサ、ツバキ、ジャーマンアイリス、アルストロメリア、キク、ヒメヒオウギスイセン

シランとヒメヒオウギスイセンは隣り合った場所に植えています。

どちらも細長くてシュッとした葉なのに圧倒的にシランの葉がお好みのようです。

葉が柔らかくて食べやすそうな?スイセンノウに寄りつかなかったのも不思議。

市内で大量発生

2013年9月15日付の地元の新聞に「アメリカシロヒトリ幼虫、大量発生 市内に被害拡大」という記事がででいました。

今回の大量発生は
・7~8月の気温が高かったこと
・少雨のため6~7月発生の成虫が広い範囲に飛散したこと

などが原因として考えられるのだとか。

アメリカシロヒトリは、もともとは青森県あたりが北限の寒さに弱い種。

10月には越冬期へ移行するため被害は縮小に向かう見込みだそうです。

被害が大きかったのは我が家だけではなかったんですね。

さいごに

アメリカシロヒトリの幼虫

今回はアメリカシロヒトリの発生時期と駆除方法について調べたことをまとめました。

以前、幼虫がついた葉を地面に置いて、ちょっと目を離したすきに猛スピードで逃げていかれたことがあります。

もちろん、捕まえて処分しましたが…。逃げ足の速さにびっくりです。

生長した幼虫の動きの速さは芋虫の中でも群を抜くのだとか。

被害が少ない年が続くと今年も大丈夫だろうと思ってしまいますが油断はできませんね。

【追記/2021年】
ここ数年、春に発生したときは必死に駆除するのに、秋に発生したときは放置していることが増えました。

1~2ヶ月も経てば寒くなって葉が枯れ落ちてしまうせいかもしれません。

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