毎年3月になると桜の開花予想が発表されますね。
開花宣言がでると、いよいよ春本番。桜前線のスタートです。
ところで、桜前線はなぜ「前線」というのか、意味が気になったことはありませんか。
北上するスピード、南の暖かい地域から順番に開花しない理由などの疑問を調べてまとめてみました。
桜前線とは何?言葉の意味
桜前線とは、日本各地の桜の開花予想日を結んだ線のことです。
線の様子が天気図の前線とよく似ているので「前線」と呼ばれるようになりました。
よく「桜前線が北上」という言い方をしますよね。
これは、開花が九州や四国の南部から始まって、津軽海峡を渡って北海道に上陸。
というように、日本列島を南から北へと進んでいくからです。
開花予想に主に使われている桜の種類は「ソメイヨシノ」です。
ソメイヨシノが選ばれる理由はこちらの記事に書きました。
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桜の標本木はソメイヨシノ!理由はクローンだから?
桜前線の言葉の由来
「桜前線」という言葉は、気象庁で使われ始めた言葉ではありません。
マスメディアによる造語なのだそうです。
1967年(昭和42年)頃からテレビやラジオ、新聞などで使われるようになりました。
気象庁が使う正式な呼称は「さくらの開花予想の等期日線図(とうきじつせんず)」といいます。
季節の遅れ進みや気候の違いなどの推移を把握するため気象庁では特定の植物や動物の観察を観測し続けています。
これは「生物季節観測」とよばれています。
梅・桜の開花した日、カエデ・イチョウが紅葉(黄葉)した日、うぐいす・あぶらぜみの鳴き声を初めて聞いた日、つばめ・ほたるを初めて見た日などを観測しています。
つまり、桜も観測対象のひとつだったというわけです。
古来、桜は稲の種まきの目安に使われるなど農業と関係がある植物でした。
最初の桜の開花予想は気象庁の前身である中央気象台の農業気象掛が昭和3年から発表していました。
当時は関係者のみへの伝達で、積極的には発表していなかったそうです。
(出典:news.yahoo.co.jp)
現在のようにお花見など行楽目的ではなかったんですね。
桜前線が北上するスピードは?
天候などにも左右されますが桜前線が北上するスピードは1日に約20Km前後といわれています。
九州・四国から始まる桜前線が、関東北部にやってくるのは、およそ1週間から10日程の計算になりますね。
そして、関東から東北にかけて、このままのスピードで北上するかと思いきや…。
なぜか、ここから遅くなります。
東京と青森では緯度も気温もかなり違うことが遅くなる理由かもしれません。
青森県の弘前公園で桜が開花するのは例年4月下旬頃。
津軽海峡を渡って北海道へ上陸するのは5月の上旬、ゴールデンウィーク頃になります。
桜前線の進み方!南から順番に開花しない理由
桜前線は、おおむね南から北へ、高度の低い所から高い所へと進みます。
ただし、必ずしも暖地から順番に咲いていくわけではありません。
その理由は桜の開花の仕組みにあるといわれています。
【桜の開花の仕組み】
桜は、花が散ってから数ヶ月たつと、すぐに次の年に花を咲かせる準備を始めます。
夏にできた花芽(翌春に咲く花の芽)は、そのまま休眠に入ります。
冬になって、一定の期間、低温にさらされることで休眠から目覚めます。
その後、春になって気温がだんだんと高くなると、花芽が大きくなって花が咲くというわけです。
開花には冬の寒さも必要というのがポイントですね。
冬の寒さが厳しかったときは、春に暖かい日が続くといつもより早く花が咲きます。
逆に、冬が暖かすぎると眠りから覚めるのも遅くなり、開花も遅くなります。
鹿児島など冬も暖かい地域では花芽が眠りから覚めるのが遅れ気味になることがあります。
そのため、東京のほうが早く咲くという現象が起きるんですね。
桜の開花予想・開花宣言は誰がするの?
気象庁が桜の開花予想を行っていたのは2009年(平成21年)までです。
2010年からは開花予想を発表していません。
理由は次の2つといわれています。
・測候所の廃止が相次ぎ、観測できる人がいなくなった
・民間の気象会社が活発に開花予想を行うようになった
開花予想をするのは民間会社
現在は気象情報の会社がそれぞれ独自に開花予想を発表しています。
開花情報だけでなく、桜の名所への交通アクセスや売店・駐車場情報もあるそうですよ。
お花見に出かける予定がある方は事前にチェックしてはいかがでしょうか。
開花宣言するのは気象庁の観測員
開花宣言は気象庁が行っています。
開花日 ⇒ 標本木で花が5~6輪以上の開いた状態
満開日 ⇒ 標本木で80%以上の蕾(つぼみ)が開いた状態
標本木を観測員が実際に見て判断しています。
花数を数えて確認し「開花!」と言っている様子がテレビで放送されることも多いですね。
【ソメイヨシノ開花から満開までの日数】
九州から東海・関東地方では約7日
北陸・東北地方では約5日
北海道地方では約4日
地域によって異なり北上するほど短くなるといわれています。
桜前線まとめ
・正式な呼称は「さくらの開花予想の等期日線図」
・必ずしも暖地から順番に開花するわけでない
・開花宣言をするのは気象庁の観測員
・開花予想をするのは民間の気象会社
現在、八重桜が咲くころを目安に草花の苗の植え付ける…という言い方をすることがあります。
もともと、桜は農作業と関係がある植物だったんですね。
桜の開花は「いつ咲いたか・その時の気温はどうだったか」という過去のデータや去年の秋から今までの温度変化、これからの予想気温のデータを使って計算し予想するのだそうです。
ちなみに、桜の花は暖かくなれば咲くというわけではないのですね。
また、冬の寒さが厳しいと開花は遅くなるというイメージがあったのですが…。
今回、花芽が目覚めるには一定期間寒さにさらされることが必要ということを初めて知りました。
難しい言葉では「休眠打破」というそうですよ。
モミジの休眠打破について書いています。
↓ ↓ ↓
モミジを種から育てる方法!盆栽仕立てで楽しむ
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