花の少ない季節はシクラメンの鉢植えがひとつあると部屋の雰囲気がグッと明るくなります。
冬から春にかけて室内でシクラメンを育てる場合の管理ポイントや、しおれる原因と復活方法などを紹介します。
シクラメンの特徴
シクラメンは地中海沿岸地方、小アジアが原産地のサクラソウ科シクラメン属の植物です。
別名、カガリビバナやブタノマンジュウとも呼ばれます。
草丈:10~25cm
開花期:10月下旬~4月下旬頃
種類には、昔からある大輪のシクラメン以外に、ミニシクラメン、比較的寒さに強く屋外で栽培できるガーデンシクラメンなどがあります。
花の色や花形も多彩で、香りのあるシクラメンやブルー系の花が咲く品種もあります。
シクラメンの育て方!冬(12~3月)室内での管理方法
シクラメンを長く楽しむためには、置き場所が大切です。
ポイントは、温度と日当たりです。
シクラメンにとって最適な温度は5~15℃、涼しい場所を好みます。
日中は、日当たりの良い窓辺で暖房のない場所が適しています。
ただし、窓辺は夜間冷えるので、夜になったら部屋の中央など暖かい場所に置いてください。
1日の温度変化の差が10℃以内になるような場所がよいでしょう。
5~15℃程の暖房のあまり効いていない部屋、例えば玄関などが適しています。
しかし、実際にはリビングに置いて楽しみたいという場合も多いですよね。
その場合は、暖房器具の近くには置かないでください。
ファンヒーターやエアコンの温風が直接当たる場所も避けましょう。
暖かすぎたり乾燥すると、花が傷んだり、ツボミが枯れたり、葉の色が黄色くなることがあります。
また、日が当たらない場所に置き続けるとツボミが開かなくなるので注意が必要です。
2~3日に1回は日光に当てましょう。
毎日多少でも日の当たる場合は、特別光の当たる場所に置かなくても花は咲き続けます。
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水やり
暖房の効いた部屋では乾燥しやすくなるため、水切れには要注意です。
水分不足になると花芽が上がってこなくなります。
さらに、水切れを起こすと花茎や葉がだらしなく垂れてしまいます。
しおれ気味になったら午前中にたっぷりと水を与えましょう。
冬の間の水やりは、3~4日に1回を目安とします。
風通しのよい所や乾燥した部屋では土の乾き具合をみて加減します。
鉢受け皿にたまった水は、そのままにしておくと根腐れの原因になるので捨てます。
与え方は、葉を手で押しのけて、鉢の縁から静かに注ぐようにします。
葉や花、球根にかからないように注意してください。
水がかかると、灰色かび病などの病気になったり、球根が腐ってしまうことがあります。
肥料
買ってきたばかりのシクラメンの鉢植えは十分に肥料が与えてあります。
しばらくの間、肥料は必要ありません。
しかし、肥料切れになると花が小さくなったりツボミが最後まで咲ききらなくなります。
1ヶ月後くらいから切れてくるので、化成肥料を株に触れないように与えます。
花が咲いている間は、10日に1回位の割合で、1000倍程度に薄めた液肥を与えましょう。
ゆっくり効くタイプの固形肥料を用土の上に置いてもいいでしょう。
肥料が多いとかえって障害が出るので与えすぎないようにします。
花がら摘み
咲き終わった花はこまめに摘み取りましょう(花がら摘み)。
先端を持って引っ張ると途中で切れてしまいます。
手で付け根に近い部分をつまみ、軽くねじるようにして引っ張り上げるとよいでしょう。
増やし方
・球根では増えない
・種まきで育てる
シクラメンは球根植物として知られていますが、実は、球根部分は茎が肥大化して球根状になったものです。
ですから、一般的な球根植物のように球根が分かれて増えることはありません。
何年育てていても球根全体が大きくなるだけです。
花の時期が終わったら、もう一度花を咲かせるために夏越しさせましょう。
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◆種の採取方法
種まきで増やすことができますが発芽率が低いため難易度は高いといわれています。
栽培に慣れてきたらチャレンジしてみるのもよいかもしれません。
シクラメンは花にちょっと触っただけでも花粉が落ちてくることがあります。
この花粉が花の中心にある雌しべの先端に少量つけば受粉するという仕組みです。
花がら摘みをしないでおくと自然に種ができます。
シクラメンの鉢が1つしかなくても受粉すれば種はできます。
ただし、同じ株の場合は良い花が咲かないといわれています。
開花時に好みの株を2株用意して人工授粉する方法がおすすめです。
うまく受粉すると、その後3~4ヶ月で実が熟し種が採れます。
受粉が完了すると、花茎が下向きに巻き込むような形になり、その先端に種ができます。
大きくなった種をそのまま放置すると、いつのまにか花茎から落ちて種が散らばってしまいます。
ある程度、実が膨らんだら茶こし袋やストッキングなどを被せておくと、こぼさずに採取できます。
気を付けたいのは、1株にたくさんの実をつけさせないことです。
株が疲れてしまって、花付きが悪くなります。
来年も花を咲かせたいと思ったら、種を採取する目的があっても、つけておくのは少量にしておきましょう。
◆種まき時期と方法
採取した種は風通しのよい日陰で乾燥させます。
その後、封筒などに入れて冷暗所(冷蔵庫など)で保管しましょう。
適期は11月~12月。種まき用の土に蒔いたら、種が隠れる程度に土をかけます。
種をまいた鉢を新聞紙で覆い、日の当たらない暖かい場所で管理します。
土の表面が乾いてきたら、霧吹きで水を与えてください。
発芽温度は15度前後。発芽する日数の目安は30日~45日です。
発芽したら日当たりのよい場所に移動させましょう。
5~6月になって本葉が10枚くらいになったら新しい鉢に植え替えます。
鉢は明るい日陰に置きましょう。2週間経ったら日当たりのよい場所に移動させます。
シクラメンがしおれる原因と復活方法
※急な冷え込みで気温が2℃くらいなると、こんな状態になります。
しおれる原因として考えられるのは、水切れと温度です。
水切れの場合は、茎をまっすぐに起こして、鉢ごと新聞紙で包みましょう。
そして、水が入った深めのバケツに、新聞紙ごとつけ込みます。
1時間ほどで、葉が上を向いて元気な姿に戻ります。
また、暑すぎたり寒すぎたりする場合もシクラメンはしおれることがあります。
人間にとって過ごしやすい温度(25℃程度)は、シクラメンにとっては少し暑すぎます。
暖房が効いた部屋の中では置き場所に注意しましょう。
一方、シクラメンは5℃以下と寒すぎても傷みます。
真冬の寒さが厳しい時期は、ダンボール箱やビニール袋をかぶせるなど防寒対策が必要なこともあります。
気温が頻繁に変わる場所も好ましくありません。
昼と夜の置き場所を変えて気温変化が大きくならないように工夫してあげましょう。
シクラメンの葉に白い粉がつく3つの原因
花粉、害虫、病気の3つが原因として考えられます。
花粉
花が下向きに咲くので葉に花粉が付くことがあります。
花粉であれば、そのままにしておいても特に問題はありません。
気になる場合は葉の表面を軽くふいて取り除くとよいでしょう。
害虫
スリップスやホコリダニなどの害虫が発生した時に白い粉状のものが出ることがあります。
葉の裏や茎などをじっくりと観察してみましょう。
小さな虫が見つかるかもしれません。適応する薬剤を散布して対処します。
病気
白い粉が粉っぽい感じがする時は「うどんこ病」かもしれません。
うどんこ病の場合、白い粉の原因はカビ(糸状菌)。放っておくと葉全体が白くなっていきます。
白くなった部分は光合成が出来なくなり葉や茎が黄色くなることもあります。
シクラメンの病気「灰色かび病」の症状・対策・予防
灰色かび病になると、若葉やツボミ、花びらなどにカビが生えシミのように変色し茶色になって枯れていきます。
多く発生するのは次のようなときといわれています。
・20℃前後で雨や曇天が続き湿度が高いとき
・葉や花にかかった水が乾かないとき
対策
病気になってしまった場合、枯れた部分にも病原菌が残っています。
シミのついた花やカビた葉は全て取り除いてください。
予防
水やりは球根に水をかけないように注意し風通しの良い場所で管理します。
咲き終わった花や枯れた葉を取り除くときは根元から茎の部分を残さず取るようにします。
途中でちぎれた茎を、そのままにしておくのはよくありません。
残った茎が腐りカビや他の病気になる場合があります。
殺菌剤のダコニール1000、オーソサイド水和剤、ベンレート水和剤などを定期的に散布して予防するとよいでしょう。
かかりやすい病気
灰色かび病のほかにシクラメンがかかりやすい病気には以下のものがあります。
◆軟腐病
初夏から夏の高温な時期に、球根が柔らかくなって腐る病気です。
枯れた葉を取る時にできた傷口から感染したり、土から感染します。
土から感染するので、植え付け、植え替えは新しい土を使いましょう。
枯れた葉を取るときに傷がつかないように注意することも大切です。
◆萎凋病(いちょうびょう)
梅雨明けの高温多湿の時期に、葉が黄色くなって腐ります。
水の与えすぎなどで根が傷んでいると、そこから土の中の菌が侵入し病気に感染します。
土から感染するので、植え付け、植え替えは新しい土を使うことが大切です。
また、完熟していない堆肥を使うと病気が発生しやすくなるので注意しましょう。
病気になった株は回復しないので処分します。
さいごに
今回は、シクラメンの特徴と冬の管理方法など育て方ポイントについて調べたことをまとめました。
シクラメンの鉢植えをプレゼントされて自宅で育てるようなったのは2005年ころ。
当時は、冬の間、咲かせ続けることが出来ませんでした。
夏越しも失敗続き。
無事に成功させて花を咲かせるようなるまで何年もかかりました。
大きく育てて毎年たくさんの花を咲かせられるようになると楽しいものですよ。
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