「植物はヒトを操る」の感想:いとうせいこうさんと育種家さんの対談集

「植物はヒトを操る」(いとう せいこう×竹下 大学:著)の感想です。

植物を育てるのが楽しいのは、実は、植物に使われているのかも!?などと視点を変えてみるのも面白いかもしれませんね。

植物はヒトを操る (Mainichi Science)

作家、クリエーターとして多方面で活躍、ベランダ園芸愛好家としても知られている、いとうせいこうさんと世界的な花の育種家(ブリーダー)の竹下大学さんの対談集です。

本書のタイトルは、人類は植物を利用して文明を発展させてきたが、実は植物の方が種の繁栄のために人間を利用しているのではないかという発想によるもの。

育種家という職業目線からみた、人類の歴史と植物にまつわる興味深い話がたくさんでてきます。

ガーデニングに関しては、いつの時代も西欧のほうがレベルが上かと思っていたのですが…。

意外なことに、江戸時代はヨーロッパより日本の方が園芸レベルは高かったというのには驚きですね。

例えば、私が好きな植物のひとつに斑入りのギボウシがあるのですが、この「斑入り」、実は日本人が最初に見つけた美意識なのだそうですよ。

産業革命の時代にイギリスからやってきたプラントハンターが日本の斑入りの植物を持ち帰って紹介したことで、ヨーロッパで斑入りの植物がブームになったのだそうです。

同じく江戸時代に大ブームになったアサガオ栽培の話も興味深かったです。

アサガオといえば、小学生の観察日記の定番。最近では緑のカーテンとしても注目されている、お馴染みの1年草。

しかし、江戸時代にブームになったのは変化アサガオ(変わり咲きアサガオ)というもの。

突然変異でできた珍しい花色や花姿、なかには一見しただけではアサガオとは思えないものに変化したアサガオが珍重されるようになったそうです。

そういえば、歴史小説の中に、そんなアサガオがでてくる場面がありました。

竹下大学さんも高校生のときに、「数咲き作り」「切り込み作り」という仕立て方でアサガオを育てていたそうです。

ツルを伸ばさないで小さく育てることもできるなんて、この本を読んで始めて知りました。

アサガオ
花が咲くと嬉しいと思うのは、植物が生き残るために人間を使った戦略かもしれない…など、植物の見方についていろいろと考えさせてくれる本です。

読了後、切り込み作りでアサガオを育ててみたいと思った私でした。